1.公認スキーパトロールとは
スキーパトロールの使命は、スノースポーツを楽しむすべての人々に、高品質の安全・安心なサービスを提供することです。また、スキー場のマイスターとしてすべてのスキーヤーから信頼される存在となるために、スキーパトロールに必要な知識と技術に加え、ホスピタリティ、弛まぬ向上心、スキーパトロール同士の強い連帯感、リーダーシップ、責任感を兼ね備えることが望まれます。これらを実現するために、次のような知識や技術を習得し、任務にあたる必要があります。
(1) スノースポーツのリスク分析と傷害予防・安全マナー指導に関すること
(2) スキー場の整備と巡視等の安全対策に関すること
(3) 傷病者の救護・搬送・事故処理に関すること
(4) 索道からの旅客救助に関すること
(5) バックカントリー・雪崩・気象に関すること
さらにスキーパトロールは、次に掲げる義務・任務を負います。
(1)公認スキーパトロールの使命を完遂するため、スキーパトロール研修会に2年に1回参加し、修了しなければならない。また、その他の関連研修も積極的に受けるものとする。
(2)公認スキーパトロールは、加盟団体や所属団体の事業には優先的に参加しなければならない。
(3)スキー場の常勤・非常勤・ボランティアスキーパトロールは、スキー場の安全管理・安全指導や救護活動に積極的に関与するものとする。
(4)その他救護活動等への協力を求められた場合、積極的に関与するものとする。
2.受検資格
(1)本連盟登録会員で級別テスト1級以上であること。
(2)赤十字救急員認定証、または赤十字雪上安全救助員Ⅰ以上の認定証の交付を受けているか、救急Ⅰ課程修了者(消防学校において,135時間以上の教育を受けたもの),医師・看護師・准看護師又は、救急救命士の資格を有すること。
(3)受検する年度の4月1日現在、20歳以上。
(4)加盟団体が実施するスキーパトロール養成講習会を検定会までに修了し、修了証によって証明された者。ただし、修了した養成講習の有効期間は3か年とする。また、2020年度養成講習修了者は有効期限を4か年とする(特別措置)。
(5)新型コロナウイルス感染拡大に伴う特例措置
公認スキーパトロール受検資格要件の赤十字救急員認定証について、新型コロナウイルスの影響により、公認スキーパトロール検定の申込期日までに、赤十字救急員養成講習(3日間)が受講できず赤十字救急員認定証が取得できない受検者については、公認スキーパトロール検定合格後,赤十字救急員養成講習が再開された時点で速やかに受講し、合格者に付与される認定証を、加盟団体経由のe-mailでSAJ事務局に提出するものとする。
3.検定会出題範囲
検定は、「公認スキーパトロール検定規程」及び「公認スキーパトロール検定基準と実施要領」に示された内容・方法で実施します。
理論テストは、「日本スキー教程安全編」「2021年度教育本部オフィシャルブック」より出題します。
ロープ操法テストは、「日本スキー教程安全編」より8種目出題します。
救急法テストは、「赤十字救急法講習教本」より8種目出題します。
※ コロナ対策として,従来のバディーシステムでの対面型テストは実施できないため,受検者単独でできる救急法テスト(止血・包帯・固定法)形式を採ることにしました。下記サイトを参考に自主学習に務めてください。
「直接圧迫法止血」救急法 Covid-19対策
「三角巾のしまい方1」救急法 Covid-19対策
「三角巾のしまい方2」救急法 Covid-19対策
「額」救急法 Covid-19対策
「頭」救急法 Covid-19対策
「右膝」救急法 Covid-19対策
「左膝」救急法 Covid-19対策
「足首捻挫の固定」」救急法 Covid-19対策
スキー実技(基礎種目)は、「公認スキーパトロール検定基準と実施要領」別表①により実施します。
スキー実技(搬送種目)は、「公認スキーパトロール検定基準と実施要領」別表②により実施します。
4.公認スキーパトロール養成講習概要
(1) 公認スキーパトロール養成講習は、集合講習20.5時間、自主学習17時間とし、加盟団体が実施する。
1) 理論講習 15時間(集合講習 6時間、自主学習 9時間)
2) 実技講習 22.5時間(集合講習 14.5時間、自主学習 8時間)
(2) 公認スキーパトロール養成講習実施要領は別表③のとおりとする。
5.義務研修
2018年度から、スキーパトロール資格の義務研修は、3年に1回の義務研修から、2年に1回の義務研修に変更になりました。2年続けて研修会を受講しない場合は、公認スキーパトロール資格が停止になります。
スキーパトロール資格取得年度または 研修会受講期限
スキーパトロール研修会受講年度
2017年度 2020年度
2018年度 2020年度
2019年度 2021年度
2020年度 2022年度
6.公認スキーパトロール検定及び養成講習の実施要領
別表① 公認スキーパトロール検定 基礎種目テスト実施要領
区分 | 実技種目 | 回転数・斜面 | 実技の内容 | 評価の内容 | |
制動技術 | ○プルークボーゲン | ・整地/中急斜面・中回り・6回転~8回転 | スキーパトロールとして必要な技術 | 制動を主体とした回転技術 | ・ターン運動の構成(ポジショニング、エッジング)・斜面状況への適応度(スピードと回転弧のコントロール)・運動の質的内容(バランス、リズム、タイミング) |
○横滑り | ・整地/中急斜面・斜め前方〰真下〰斜め後方・左右1回ずつ | スピードコントロールと方向維持 | |||
○片開きプルーク | ・整地/中斜面・左右2回の切り換え・直進、停止ゾーン指定 | ||||
応用技術 | ○パラレルターン | ・整地/急斜面・小回り | 滑らかで安定したスキー操作 | ||
○フリー滑降 | ・不整地を含む総合斜面・状況に適合する方法を活用 | 各種地形・雪質への対応滑らかで安定したスキー操作 |
別表② 公認スキーパトロール検定 搬送種目テスト実施要領
区分 | 実技種目 | 回転数・斜面 | 実技の内容 | 評価の内容 |
搬送技術 | ○浅まわり搬送 | ・整地/緩斜面・6~8回転 | ・アキヤボートを使用・後方1人操作で仮傷病者を乗せる・プルーク技術を応用 | ・安定を優先したスムーズな操作・指定条件の達成 |
○大まわり搬送 | ・整地/緩〰中斜面・6~8回転 | ・アキヤボートを使用・後方1人操作で仮傷病者を乗せる・条件状況に応じた技術を選択 | ||
○真下搬送 | ・整地/中急斜面・左右2回の切り換えと停止ゾーン指定 | ・アキヤボートを使用・後方1人操作で仮傷病者を乗せる・横滑りとプルーク技術を応用 |
別表③ 公認スキーパトロール養成講習実施要領
I.理論講習 15時間(集合講習 6時間、自主学習 9時間)
講習科目 | 時間 | 内容 |
1.序論 | 1.0 | ①スノースポーツを取り巻く環境 ②スノースポーツに内在する危険 ③スノースポーツ事故の実態 ④事故と法的責任 ⑤安全なスノースポーツ環境の創出に向けて |
2.安全な滑走のために | 1.0 | ①スキーヤーの責務 ②引率者・指導者および受講者の責務 ③救助義務 ④ジュニアスキーヤー,シニアスキーヤーの安全対策 ⑤スノーボーダーの安全対策 ⑥競技スキーの安全対策 ⑦スキー用具と安全 |
3.スキーパトロール概論 | 1.5 | ①スキーパトロールとは ②スキーパトロールの業務内容 ③スキーパトロールに求められる知識・技術 ④スキー場の運営 |
4.スノースポーツ医学 | 1.5 | ①スノースポーツ救急法概論 ②スノースポーツの外傷・障害 |
5.山岳スキー | 1.0 | ①バウンダリーを越えることの意味 ②基礎知識・基本技術 ③装備 ④冬山の気象学 ⑤雪崩 ⑥捜索費用・保険 |
II.実技講習 22.5時間(集合講習 14.5時間、自主学習 8時間)
講習科目 | 時間 | 内容 |
1.基礎種目制動技術 | 3.0 | スキーパトロールとして必要な、制動技術・回転技術・総合技術を用いた
|
2.基礎種目応用技術 | 2.0 |
|
3.搬送種目 | 5.5 | 仮傷病者を乗せたアキヤボート後方一人操作で
|
4.ロープ操法 | 2.0 | 日本スキー教程安全編に示すロープワーク |
5.救急法 | 2.0 | 赤十字救急法講習教本に示す三角巾包帯法 |