教育本部理事 上杉一哲
この度、公益財団法人全日本スキー連盟教育本部理事に就任いたしました、上杉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
公益財団法人全日本スキー連盟(SAJ)は、「安全で楽しいスノースポーツ」の普及振興を図ることを目的としています。SAJ教育本部安全対策部担当理事として、その目的を遂行するために、幅広い知識と正しい技術を身に付け、数多くの経験を積んだスキーパトロールの育成と、安全への高い意識をもったスキー指導者の育成を重要な柱として位置付けています。
さて、今シーズンは全日本スキー連盟が創立100周年を迎える節目の年にあたり、8年ぶりにスキー教程安全編が全面改訂・発刊されました。
新しいスキー教程安全編は2部構成で、前半は一般のスノースポーツ愛好者、指導者、ジュニアやその保護者、バックカントリー愛好を対象に、スノースポーツの環境や安全に関することがらを、後半はスキーパトロールを含めたスノースポーツの安全対策に関わる人々を対象に、より専門的なスノースポーツの安全に関する実務や救急法をまとめました。ぜひ一読お願いします。
また、新教程にもまとめましたが、近年のスノースポーツを取り巻く環境は大きく変化しています。人類はこれまでにない大きな変化を経験してきました。世界の年平均気温は、さまざまな変動を繰り返しながら、長期的には100年あたり0.76℃の割合で上昇し、もはや地球の温暖化は現実のものとして疑いようがありません。他方で2019年末に始まったCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の蔓延は、社会の在り方を大きく変化させるとともに、東京2020オリンピックをはじめとする世界的なスポーツの在り方にも大きな影響を及ぼしました。さらに、少子高齢化の流れの速さ、急増しつつあるインバウンド、バックカントリーの普及による管理区域外での事故など、対応すべき諸課題が山積しています。
昨シーズンではCOVID-19蔓延前の8割にも回復した、スノースポーツ利用者数の増加に伴い、受傷率も2017/18シーズンの最高値に匹敵する値となってしまいました。スノースポーツ愛好家たちが、スノースポーツの楽しさを生涯にわたって、味わい楽しんでいくために不可欠な要素は、何といっても『安全』です。
私たちSAJは、冒頭で述べた「安全で楽しいスノースポーツ」の普及振興を図り、受傷率を減らすために、このホームページを通じて、全てのスキーヤー・スノーボーダーの方に、スノースポーツが、技術的向上や道具の機能向上だけにとらわれず、過酷な自然の中で行なわれているスポーツであることの認知度(遊園地やテーマパークではないこと)を高めていくことの必要性と、SAJ安全対策部がどのような仕事をしているのかを知っていただきたいと思います。
そして、公認スキーパトロールの受検を志している皆様には、スキー場で活動しているスキーパトロールの任務や役割そして魅力を知っていただきたいと思います。
さらに、スキーパトロール有資格者の皆様には、応急手当の最新の処置方法や救急資材の使用方法など、スキーパトロール同士の情報交換の場を提供していきたいと思います。
最後に、今シーズンにおかれましても、スノースポーツに内在する、危険等の理解度を深めていただき、安全対策や事故防止の意識を高めることへ取り組んでもらえるよう、より一層のご協力をお願いします。
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