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日本スキー教程安全編でのロープ取り扱いについて

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はじめに

日本スキー教程安全編(以下安全編)の,第3章3節5項「ロープアクセス・ロープレスキュー」の冒頭で,「旧安全編では,スキーパトロールが日常業務で利用するロープワーク(結びの種類や用途)について記載しました。しかし,欧米のスキーパトロール養成システムでは,崖や谷底へ転落した負傷者や,リフトやゴンドラからの乗客(要救助者)救出を想定したロープアクセス(ロープを利用した救助活動)が必須科目として取り入れられています。安全編では,従来のロープワークに加え,ロープアクセスやロープレスキューについて概説します」と述べられているとおり,パトロールが日常業務で多用してきたロープワークを,新安全編で否定するものではありません。

 

1.旧安全編で取り扱った結びの種類

  1. 止め結び(オーバーハンドノット)→⑧ダブルオーバーハンドノット
  2. 8の字結び(フィギュアエイトノット)
  3. 本結び(スクェアノット)
  4. 外科結び(サージャントノット)
  5. ふたえつなぎ(ダブルシートベンド)
  6. ひと一結び(ハーフヒッチ)
  7. 巻き結び(グローブヒッチ)→⑦クローブヒッチ
  8. もやい結び(ボウラインノット)
  9. 腰掛け結び
  10. ちょう結び(バタフライノット)→④バタフライノット
  11. 二重8の字結び(ダブルフィギュアエイトノット)→①ダブルフィギュアエイトノット
  12. もやい結び(ボウラインノット)
  13. 二重もやい(ダブルボウラインノット)
  14. コイル巻き(胴もやい)
    ※丸付き番号は新安全編でも取り扱っている
1 2
3 4
5 6
7 8
9 10
11 12

13

14

写真1

2.「もやい結び」系について

「もやい結び」は結びの王様とも称されるほど,結びやすく解きやすく強度に優れた結びです。しかし,リング縦方向に荷重がかかった場合は強いのですが(写真2a),リング横方向に荷重がかかった場合(リング荷重,写真2b),結びが解ける欠点があり,人命救助等には用いられなくなりました。パトロールが人命救助以外の日常業務等で使用するにはなんの問題もありませんが,日頃慣れ親しんだもやい結びを緊急時(人命救助等)に使用してしまうことを恐れて,あえて安全編では全面削除する決断をしました。

コイル巻き(胴もやい)については,ボート流止めとして現場で使用している例が多いので,パトロール養成講習等で指導してもらってかまいません。

2a

2b

写真2

3.パトロールが日常業務で多用する結び

(1)ロープの連結

太さが同じロープの連結には,ダブルフィギュアエイトノットが用いられますが,太さが異なるロープの連結には,シートベンド系が良く用いられます。連結してもコブが小さいので,引き回しても引っかかりにくいのが特徴で,境界ロープの連結に良く用いられています。

①ロープの連結:ひとえつなぎ(シートベンド)(写真3a)

②径が異なるロープの連結:ふたえつなぎ(ダブルシートベンド)(写真3b)

③極端に径が異なるロープの連結:クロスシートベンド(写真3c)

3a

3b

3c

写真3

(2)縦ポールへの巻き結び(クローブヒッチ)

スキー場では,コースセパレートや境界ロープとして,縦ポールへの巻き結び(クローブヒッチ)が多用されます。安全編ではカラビナへのクローブヒッチとして扱っていますが,縦ポールへのクローブヒッチは,ロープの張りを保ちながら結ぶ必要があるため,結び方にコツが必要です。(写真4)

 

4a. ロープの張りを保ちながらポールに巻き付け,他端側に輪を作り,ポールの上からかぶせる方法

 

4b. 互い違いに輪を作り重ね合わせ,ポールにかぶせる方法

写真4

(3)コイル巻き胴もやい

ボート流止めには,胴ベルト型安全帯(一本吊り5a,リール式5b)や,クライミング用軽量ハーネス5cや,フルボディハーネス5dを使用するのが理想です。しかし,そのような流止めが用意できない場合,ソウスリングたすき掛け5eやコイル巻き胴もやい5fを応急的に用います。ボートが流れて負荷がかかった場合でも,胴に結んだ輪の大きさが変化せず,胴にコイルしたロープの食い込みが小さいのが特徴です。

 

5a

5b

5c

5d

5e

5f

写真5

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